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第1回目は、経験豊富な登山愛好家たちからも愛され支持される登山靴。キャラバンシューズの代表モデル『C1_02S』を徹底レポート!

日本の大定番トレッキングシューズ、登山靴『C1_02S』

まず間違いなく、日本を代表する登山靴だろう。それがキャラバンの「C1_02S」だ。このC1_02Sの前身モデルは、社名にもまつわる「キャラバンシューズ」であり、初期モデルが生まれたのは、なんと1950年代。わずか2年だけ発売されていなかった期間はあるものの、半世紀以上もリニューアルを繰り返しながら進化してきたシューズなのである。

C1_02Sは登山入門に適した大定番トレッキングシューズとして人気だ。山慣れしていない初心者に合うのならば、登山歴が長い人にも合わないはずがない。

それなのに山岳ライターである僕は、なぜかこれまで履く機会がなかった。だが、ここで改めてテストし、その実力を確かめていこうと思う。

初心者も履きやすいC1_02Sは、同時に“日本人の足に合う”トレッキングシューズだともいわれている。しかし“日本人の足”とはどういうことなのか?

“甲高幅広”の人に適する、余裕ある設計

一般的によく言われるのは、欧米人に比べて【 甲高幅広 】だということだ。実際、ヨーロッパやアメリカのシューズメーカーのなかには日本メーカーではありえないほど狭めの足型を使っている会社も多く、その印象は間違ってはいないと思われる。とはいえ、足の形の個性は人種以上に人それぞれともいえ、日本人だからと言って誰しもが甲高幅広というわけでもない。

さて、C1_02Sの特長を見ていこう。

アッパーはポリエステル製のメッシュ生地を中心に、岩などで擦れやすい部分を合成皮革で補強している。アウトソールを含めて全体的に非常に柔らかで、丈夫に作ったスニーカーのようだ。つま先もTPU樹脂で保護されている。

足首周りにはクッション素材が充分に使われ、ソフトに足を包み込む。

この柔軟で優しい履き心地が、登山靴に慣れていない初心者にも使いやすいという理由であろう。

タンと一体化したアッパーの生地の裏側には防水透湿素材のゴアテックスが使われ、ソックスのような形状で防水されている。

そのために、7~8㎝の深さであれば、水たまりのなかに足を突っ込んでも水が内部に流れ込んでこない。雨の日でも注意して歩けば、内部はドライのままである。

インソールやアウトソールに現れる、細かい気配り

シューズ内側には付属のインソール(フットベッド)があらかじめ敷かれている。

このEVAインソール自体はそれほど厚みがない。だが立体的に成形されており、かかとの丸みにきれいに沿う。だから、薄手でもしっかりと体重を支えてくれる。

次にアウトソールを確認したい。(以後、ソールと表記)

C1_02Sのソールの特長は、比較的柔らかいことだ。両手で持ってひねると、容易に曲げられる。歩行が楽になるように、屈曲性を重視している印象なのである。

そして、ソールの溝はかなり深い。

柔らかい地面をしっかりととらえ、滑りにくくしているのである。しかし、このように凹凸が深いソールは土がこびりつくとなかなか取れず、ときにはグリップ力が効かなくなることもある。とくに、ソールの素材が硬いシューズには顕著に表れる問題だ。

しかしC1_02Sは、先述したようにソールが柔らかい。そのために歩行中にソールが何度も屈曲するうちに、大半の土は勝手に落ちていく。ソールの柔軟性が高いからこそ、ミゾがこれだけ深くても土が長い間こびりついていることはないのである。

ソールの湾曲で、蹴り出しやすさはバツグン

次の写真は、C1_02Sを真横から見た様子だ。

トレッキング系のシューズの多くは、つま先が少し反り上がり、かかとも同様にいくぶん湾曲している。岩場に強いアルパイン系のシューズはソールが硬くて平らで、岩の細かな突起を確実にとらえてくれる。その代わり、次の一歩を蹴り出しにくい。その点、C1_02Sのソールのように丸みを帯びていれば、足を着地してから次に踏み出すまでの動作がスムーズなのである。しかもC1_02Sはソールが気持ちよく屈曲するので、ますます歩きやすい。
つまり、C1_02Sは岩場が多い高所よりも、起伏が緩やかな山を長く歩くときのような登山形式のときにより適しているのだ。

最近の登山靴には滑りがよい丸紐タイプが多く使われているが、C1_02Sは平紐タイプである。

フィット感を重視し、むしろ靴紐の滑りを抑えようとしているのだろう。実際、この靴紐はフックやアイレットと程よい摩擦抵抗を生み、力をあまり入れなくてもよく締まった。そして、緩みにくかった。

「+α」で向上するフィット感

僕がC1_02Sの靴紐を締め、しっかりとフィットさせた状態が、以下の写真になる。

足へのなじみはよかったが、ひとつ問題があった。それが何かわかるだろうか?

よく見ると気付くのは、靴紐がかなり長く余ってしまっていること。なぜこういうことが起きたのか。

僕は以前、シューズの専門家に自分の足を計測してもらったことがある。そのときに言われたのが、「癖のない一般的な幅の足。だが偏平足気味で、しかも肉に厚みがあまりなく、甲高ではない」ということ。
つまり「幅は普通で、甲は低い」足で、足囲という意味では【 甲高幅広 】といわれる一般的日本人よりも細いようなのである。そのために、C1_02Sを履くと、靴紐が少々余ってしまったのである。

ここで登場するのが、C1_02Sを購入した際に同梱されている「ハーフインソール」だ。

これはつま先側半分のサイズのインソール。厚みは2mmほどで、僕のようにそれほど足幅が広くない人が使えばシューズ内部の余分な隙間を打ち消し、フィット感を向上させてくれるという優れものである。

このハーフインソールのおかげで、フィット感はアップ。あともう少し僕の足囲が狭かったら、ハーフインソールを加えても緩すぎて合わなかった可能性が高いが、こういう配慮があるのはありがたいことだ。

ただし、先ほどの写真のように靴紐が長いままでは歩きにくいので、二重結びにして短くまとめた。

シューズというものは、いくら設計がよくても、自分の足に合わなければ意味がない。サイズが合わない洋服が体の動きを妨げるのと同じことである。【 甲高幅広 】の人はC1_02Sを選ぶべきだが、僕以上に足囲が狭い人はC1_02Sの足型は大きすぎてフィットさせられないので、別のモデルを探したほうがいい。また、シューズの専門家に言わせれば、足囲というものは、じつは本人が思っているほど広くない人が大半だという。少しでも不安がある人は、ショップで入念に足のサイズを測ってもらうとよいだろう。

足への負担が少ない、柔らかな履き心地

登山道を歩いていると、C1_02Sというシューズの軟らかさがよくわかる。

急坂の登りでもシューズがよく屈曲し、歩行中ほとんど違和感を覚えない。

ソールは地面の凹凸をしっかりととらえ、小石混じりの登山道でも安心して踏み込める。地面からの衝撃もあまり感じない。

岩がある場所も問題ないようだ。

柔らかなソールは細かな岩の凹凸へ吸い付くように馴染み、よほどツルツルした岩でなければスリップはしない。

では、沢のように濡れた場所はどうだろうか?

ソールが濡れているときのグリップ力を確認するために、あえてC1_02Sをいったん水没させてみた。

こうなると当然ながらアッパーもいっしょに濡れてしまう。アッパーのポリエステルメッシュ部分には水が浸透していったが、その内側にはさすがゴアテックスが使われているだけあって、一切の水漏れは起こさない。

また、合成皮革部分は撥水性が高く、あまり濡れることはない。

沢の水で濡れたC1_02Sのソールはやはり少し滑りやすくなった。だが、それはどんなトレッキングシューズにも言えることともいえる。

角がとれて丸みを帯びた石だけ避けて歩けば、グリップ性は充分である。

歩き方ひとつで、ますます実力を発揮

前日の雨が乾き切らず、地面が湿ったままの場所も歩いてみた。

ソールは地面に食い込み、しっかりと体を支えてくれたが、注意したいのは、泥や粘土質の地面のときに、以下の写真のようにつま先で蹴って歩くことだ。

C1_02Sのソールの先端はエッジが立っておらず、丸みを帯びている。だからつま先で蹴ろうとすると、簡単に滑ってしまい、転びそうになる。こういう場所ではむしろソールをべったりと地面につけ、接地面積を広くしたほうが滑りにくくなるものだ。自分が履いているトレッキングシューズの形状や特性を把握することは、C1_02Sに限らず、転倒などを防止するための大きなポイントである。

僕はそのまま丸1日歩き続けた。

登り道は非常に快調である。平坦な道も良好だ。ただ、下り道は少しだけシューズ内部で足が動くような気がしないでもない。C1_02Sは内部に余裕を持った作りになっているために、僕のように偏平足で足囲が狭めの人は、足に負担がかかる下り道にはこういうことが起こりえる。その反面、足囲が普通の人や甲高幅広の人はむしろ心地よく履けるはずである。

蒸れが少なく、蒸し暑い時期も快調!

山行を終え、C1_02Sを脱いだ。感心したのは、蒸れが少なかったことである。

アッパーがすべてスエードレザーや合成皮革だと、いくらゴアテックスでも湿気が抜け切らないものだ。だが、C1_02Sのメッシュ素材のアッパーはすみやかに蒸れを排出してくれる。これなら蒸し暑い時期でも不快感が少ないだろう。

柔軟性が高いC1_02Sのソールは少し摩耗しやすいようだが、うれしいのは張り替えが可能なことだ。もともとの価格がリーズナブルなこともあり、懐に優しく登山ができる。森林限界を超えた高山にはもう少しタフなタイプのほうがよさそうだが、日帰りできる低山や森林限界を超えない場所では大いに活躍する。これまで長い間、多くの登山者に愛されてきたのも道理なのであった。

文・写真=高橋庄太郎

今回のアイテム商品

C1_02S ¥17,050 (税込)

カラー:220レッド、440ブラウン、670ネイビー、941ブラックシルバー

※2021年限定の保険付帯スペシャル仕様モデル LIMITED EDITION『C1_SP』もあり。

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