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第3回目は、登山靴と非常に密接な関係にあり無くてはならない存在、『登山用ソックス』を徹底レポート!

左右それぞれの足に合わせ、しかも立体成型 キャラバン『RLソックス・シリーズ』(前編)

歩行中、人間の体と地面がじかに接するのは登山靴をはいた足の部分だけである。登山靴は足裏のわずかな面積で全体重を支え、体のバランスを取り転倒を抑える働きを持っており、それだけに登山靴の良し悪しは疲労の程度を大きく左右するだけでなく、安全性にも大きく関わっている。

ここで忘れてはいけないのが、登山靴の内側で重要な役割を果たしている「登山用ソックス」の存在だ。登山用のソックスは生地に厚みを持たせることでクッション性を高めて、地面からの衝撃を吸収し、同時に足汗も吸い上げる。さらには登山靴との接触感も和らげるのがひとつの特徴だが、薄手で弾力性が足りない「街履き用ソックス」を合わせたために足に痛みを覚えて歩けなくなったり、汗がなかなか乾かない素材のソックスを選んだがために靴擦れを起こしてしまったりと、ソックスが理由で歩行が困難になる場面は山中で珍しくない。
そもそもとして、登山用途で使用するためのソックスと、普段履いている街履き用ソックスではさまざまな違いがある。
登山靴がもつ実力を十分に発揮させるためには、ソックスの機能性にも目を向けて選ぶべきなのだ。

「Right」「Left」で作り分け、「RL」という名称に

さて、このレポートのために今回テストしたのは、キャラバンから発売されている「キャラバンRLソックス」である。登山靴を手掛けるメーカー自らが、登山靴のパフォーマンスを最大限に発揮させるソックスを作り上げているというわけだ。

ブランド名の“RL”は「Right/Left」、つまり「左右」を表しており、足の形に合わせて右と左を作り分けているのが最大の特徴だ。一般的なソックスは左右どちらでもはける形状で設計されているのが普通だが、「RLソックス」はその点が大きく異なっている。

多様な製品を展開しているキャラバンRLソックスのなか、ここでピックアップしたのは「RLメリノ・レトロトレッキング」(右/これ以降の表記はメリノ・レトロ)、「RL HGアンダーカーフ」(中央/以降はアンダーカーフ)、「RLドラロン・マダラックス」(左/以降はマダラックス)の3種である。

以下の写真は、これら3種のソックスを広げて伸ばしたものだ。先ほどの写真とは並び方が変わっているので、改めて製品名を記しておくと、アンダーカーフ(上)、マダラックス(中央)メリノ・レトロ(下)となる。

どれも登山用途に適したソックスだが、その個性は少しずつ異なり、この写真だけを見ても丈の長さや厚み、編み方の違いなどがイメージできるだろう。

また、使われている素材もじつはすべて異なっているのだが、まずは共通の特徴を確認しておきたい。

「上面」「正面」「側面」から立体的に設計

すべてのキャラバンRLソックスは、左右のソックスを作り分けることで親指から小指にかけて少しずつ長さが変わり、足全体が過不足なくフィットする設計となっている。

それゆえに登山靴内で生地が余ることがなく、フィット感が向上するばかりか、靴擦れもしにくくなっている。

立体製法を採用しているのも、キャラバンRLソックスの特徴だ。

正面から見ると、肉に厚みのある親指付近は高く、あまり厚みがない小指にかけて低くなるようにデザインされている。これによって足先全体へ均一なフィット感がもたらされる。

親指側の側面はさらに立体的で、その形状に合わせてマチ編みされている。とくに圧力がかかる箇所に縫い目がないので靴擦れしにくく、無用な圧迫感も覚えずにすむのがいい。
しかも、これらの製品は国内生産による≪MADE IN JAPAN≫というのも何だうれしい。

「左右を作り分けている」のが、キャラバンRLソックス最大の特徴とはいえ、これらの点も大きな長所となるのである。

伸縮性を変えて歩行性を高めた「RL HGアンダーカーフ」

では、アンダーカーフから見ていこう。

このソックスの素材は主に化学繊維。具体的にはアクリル43%、ナイロン23%、ポリエステル15%、ポリウレタン2%となっており、そのなかでもHGナイロンの吸放湿性を生かした製品である。また、ウールも17%も配合され、保温力も高められている。

以下の写真の左は、くるぶし部分の表側、右は同じ部分をひっくり返した状態だ。

編み方を変えてフィット感をアップしているだけではなく、前側は登山靴のタンと当たっても痛みが出ないように、厚手に仕立ててクッション性を向上している。

こちらはつま先部分の裏側だ。

登山靴内部で圧力がかかる部分だが、つま先に痛みが出ないように厚手でクッション性を高めてあり、すぐに摩耗して穴が空かないようにも配慮されている。

足裏は疲労軽減効果を考え、アーチ部分を少し強めに伸縮させている。

この部分も単純に締め付け方を変えているのではなく、やはり足の左右の形状を考え、土踏まず部分の内側が効果的にサポートされるように設計されている。

デオドラント加工がうれしい「RLドラロン・マダラックス」

次はマダラックスだ。

素材はアクリル42%、コットン42%、ポリエステル10%、ナイロン4%、ポリウレタン2%と、さまざま。とくにアクリルは乾式紡糸法で作られ、吸汗速乾性に優れる“ドラロン”という素材だ。また、天然系デオドラントとしての防臭効果をもたらす“ロンフレッシュ”加工も施されている。

以下の写真は、くるぶし部分の表と裏だ。

登山靴に当たる上側は編みが折り返され二重になっていて、かなり厚手だ。しかも厚みがあるにも関わらず履き口周辺の締め付け感がなく、とても柔らかだ。その下は登山靴になじみやすい中厚の編みになっている。

裏側はつま先までパイル編みになっており、汗を迅速に吸い取ってくれる。

もちろんクッション性も十分だ。

柔らかくて保温力も高い「RLメリノ・レトロトレッキング」

最後にメリノ・レトロである。

こちらの素材は製品名のとおり、メリノウールが主体だ。具体的には、メリノウール60%、アクリル17%、ポリエステル10%、ナイロン8%、ポリウレタン5%となっている。

くるぶしの部分の構造は、マダラックスと同様だ。

だが、二重構造の部分の長さが異なり、マダラックスの約9.5㎝に対して、このメリノ・レトロは約13㎝と、かなり長くなっている。

つま先までの裏地も、マダラックスと同じである。

つまり、マダラックスとメリノ・レトロは素材こそ違うが、似たような性質をもつソックスといえるだろう。

後編に続く

文・写真=高橋庄太郎

今回レビューした商品

RLメリノ・レトロトレッキング ¥2,640 (税込)

カラー:103チャコールグレー、232ワイン、583フォレスト、
    678デニム
サイズ:S(22.0-24.0cm)、M(24.0-26.0cm)、
    L(26.0-28.0cm)
※232ワインはS・Mのみ

RLメリノ・レトロトレッキング 商品詳細へ
RLメリノ・レトロトレッキング

RL HGアンダーカーフ ¥2,200 (税込)

カラー:131グラファイト256チリ、583フォレスト、686コバルト
サイズ:S(22.0-24.0cm)、M(24.0-26.0cm)、
    L(26.0-28.0cm)

RL HGアンダーカーフ 商品詳細へ

RLドラロン・マダラックス ¥1,650 (税込)

カラー:103チャコールグレー、245ロッソ、483クルミ、
    679ストーンデニム
サイズ:S(22.0-24.0cm)、M(24.0-26.0cm)、
    L(26.0-28.0cm)
※245ロッソはS・Mのみ

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RLドラロン®・マダラックス